「ま、股の部分、自分で洗えるかな?」
私は顔を真っ赤にしながら、少女に言った。
彼女は、洗ってくれないの? と思っているのだろうか。首を少し傾げ、そのまま私を見ながら微動だにしなかった。
「……私が洗おうか」
ドキドキしてしまう。この激しい動悸が少女に伝わってしまうのではないだろうかと、心配になる。
少女は無表情のまま、足を広げた。
跪いた私の目に彼女の先程洗ったばかりの性器が飛び込んでくる。
「立ってくれる?」
そう私が言うと、少女はすっと立ち上がった。
私は彼女の細い足の間に手を伸ばす。きちんと洗わなければ、と自分に言い聞かす。
性器を洗ってあげていると、少女は気持ち良さそうにちょっとだけ目を細めた。
泡だらけの少女を押さえつけて、舐めたい。抱き締めてヴァギナの奥まで洗いたい衝動に駆られた。
でも、ダメ。
私は気持ちを押さえ、さ、洗えたよ、と言った。
「お湯で流すね。シャワーが出るのはここ。ここを捻るんだよ。最初は少し冷たいから、手の平で確認してからね」
私は先程と同じように説明した。
「右側だよ。左側は触っちゃ駄目」
「みぎがわ」
少女は両手を見つめた。
「こっちね」
私は少女の右手を掴んだ。
「右手を伸ばすと、右の水栓に触れる。右側を回す」
「みぎてでみぎがわのすいせんをまわす」
「そう」
「ひだりがわはさわっちゃだめ」
「そう。だめ」
「どうして?」
「私が丁度良い熱さに調整してあるから。あちちって火傷しちゃうよ」
「あちち」
「そう、あちちって……火傷……」
私は少女のタバコで焼かれた皮膚に触った。
「ここ、ね。こういうことされたら、あちちって言うんだよ。絶対。お約束。ううん。もうね、ゆきちゃんには火傷させない」
「させない?」
「うん、させない」
そんな約束をしていいのだろうか。
私は温かいお湯を少女にかけた。
「この温度が丁度良い温度。気持ち良い?」
「きもち……いい?」
少女は私の言葉を繰り返し、首を傾げながら私を見る。
「うーん、気持ち良いってどういう感じかなぁ。サリバン先生になったみたいだわ」
「サリバンせんせい」
「サリバン先生っていうのはね、三重苦のヘレン・ケラーの先生で、耳が聞こえなくて目も見えなくて話すことも出来なかったヘレンに水の存在を教えるんだけど……ゆきちゃんはまずお水が安全な温度かどうかを覚えなくっちゃね。一人でお風呂に入れるようにならなくっちゃ」
「あんぜん」
「そう、安全。……この家は安全だよ」
そんなことを言っていいのかと私は思う。私が、少女に欲情している私自身が一番危険なのではないだろうか。
私は少女の石鹸を流し、もう一度湯船に浸からせ、自分も簡単に頭と体を洗い、二人で風呂を出た。

■ 続く