「ゆきちゃん!?」
私は慌てて少女の背中をさする。この行動が今の状態に良いのか悪いのかも分からなかった。
「急にどうしたんだろう……」
私が少女を見ると、少女も私を見た。
その瞳はやはり表情が読み取れない、漆黒の輝きを放っていた。
「……まつり……まつり……」
少女が私の名を呼んでくる。か細い、消えるような小さな声。
「大丈夫。ここにいるよ。ごめんね、スマホ見てて。ゆきちゃんがこの家にいられるように、調べていたんだよ」
「この……いえ……いられる……? ま……まつりの……そば……いら……れる?」
「居られる、いられるよ。私はゆきちゃんを手放さないからね。大丈夫。安心して……」
本当にそんな事を言ってもいいのだろうか。一時期の高揚によって出任せを言ってるのではないだろうか。

■続く