痛みはどこから来るのか。歯か肩か頭か。頭に、脳に、血管に、小さなマキビシが通る。マキビシは血管を痛め、私を苦しめる。痛いいたいいたたい。名も無き存在の小さなマキビシ。どの医者も匙を投げる。痛い事実だけがこの世に残る。痛い。でも誰にも止められない。痛みは消えず、マキビシはずっと血管の中をコロコロとただよう。酷い痛みは眠りを消し、私を痛み止め薬中毒へと追いやる。白い小粒を沢山飲むと止まる痛み。しかし五時間後にはまたマキビシがコロコロころころと脳の中を転がる。助けてという声は誰にも届かず、痛みと狂気が世の中を包み込んで真っ黒に塗る。誰にもなにも出来ない痛み。壁を叩いても痛みは止まらない。助けてという声は白衣の人形に届かない。届かない。《終》