私がどう言ったら良いのか分からず、黙っていると、係員が口を開いた。
「お母さんはもう亡くなったから、こんどは貴女自身の身体を守ってあげないとね」
そう言われて、少女はふっと、顔を上げる。
「からだをまもる?」
「そうよ。貴女自身を守るの」
「……いままでもまもってきた。ママがしんでから、なんどもさむくてしにそうになったけど、おじさんたちがたすけてくれた。まつりもたすけてくれた」
「うんうん。そうだ。おじさんたちと写真は撮った?」
「とった。ママはしゃしんがだいすきで、せいかつひがかせげるっていってた」
「うーん、例えばフェイスブックとかにアカウントを持っていなかったかしら」
「らぶぽるの……」
「LovePornoか。海外の大手サイトね。貴女はアカウントを持ってた?」
貴女は、と係員が言ったところで私はむっとし、そんなサイトのアカウントをこの子が持っているわけがないと抗議しようとしたとき、少女が呟いた。
「アカウントはゆき1225。パスワードはさくら0101」
「ふんふん。このPCにアカウントとパスワードを入れてもらえるかな?」
PCのブラウザ画面にはLovePornoと書かれていて、薄い下着をつけた白い肌と黒い肌の女性が手を繋いでにっこりと笑っていた。
少女が慣れた手つきでIDとパスワードを入れる。
「これ、大好きなサイト」
そこには少女と、まだ幼さを残した黒髪の女性が映し出されていた。何も着ていない姿で、にっこりと笑う二人。少女も、女性も歯が欠損している。肌は少し薄汚れている。だが二人とも愛らしかった。
係員が画面を下にスクロールする。

■続く