「また来年もしようね」
「…………らいねん……」
少女は不安と喜びを瞳に浮かべながら、こくり、と頷いた。
「さて、ケーキも食べたし、食器洗い機に食器を入れて……鍋は洗って……」
少女は私が食器を入れる方法をじっと見ていた。
「食器の向きはこうね。ゆきちゃんもやってみる?」
「うん!」
少女は一生懸命にお皿を並べた。
「そうそう。向きがあるから気を付けて。オッケー。上手いうまい。それから洗剤を入れて、スイッチオン。これであとは放置。さ、歯を磨こう」
私達は歯を磨いてから、ベッドへと向かった。
「ベッドはクイーンサイズだからゆっくり眠れると思う」
「……ベッド……」
少女はちらっとソファーとベッドを見比べた。
「ベッド……おおきい。でも……ソファーでもいいよ……き、きたない……から」
「お風呂に入ったでしょ。ゆきちゃんは綺麗だよ」
「…………」
少女は唇をかみ締め、悲しそうな目をした。
「ベッドに……よこたわると……おくさんにたたかれた。きたないって……」
「いいんだよ。もう叩くおばさんはいないかなね」
「…………」
少女は恐るおそるベッドへと入ってきた。
「おふとん、かるい」
「まぁ……羽蒲団だしね」
「……羽?」
「掛け蒲団の中に鳥の羽が入っているの」
「!」
少女は蒲団をぱふっと叩いた。
「羽……!」
「そう。軽いでしょ」
少女は嬉しそうに羽蒲団を掛けた。
「暖かい……」
少女は安心したように、そっと目を閉じた。
そんな安心していいの?
横に寝ている女は狼なんだよ。
私はそっと少女の髪に触れる。
すると少女が甘えるように、私の手の平に頭を寄せてきた。
私は胸の高鳴りが耳へと響いた。
どくんっと鳴り響く。
少女の睫は長く、鼻筋はすっと通っており、頬はピンク色に染まり、色っぽい唇は赤かった。
可憐で美しい少女は、安心しきって私の隣で寝ていた。

■ 続く