新宿 少女観察日記
【百合小説】新宿少女観察日記51 「良かったじゃないか。あんただけでも学校へ行くんだよ」 老人は頷きながら少女を見た。
私達は私服警官の覆面パトカーに乗り、練馬へと向かった。 「ゆきさんはどうやって練馬から新宿まで来たのですか? …
【百合小説】新宿少女観察日記50 「ほごなんてされない。それにこどもじゃない。もうママはしんだから、おとなにならなきゃ」
「けいさつがきたらにげろっておそわった……」 「ゆきさんはにげなくていいのよ。子供は守られて保護されるものなの …
【百合小説】新宿少女観察日記49 連れ去り? おかしな話だ、と私は自傷気味に心の中で笑った。街中から少女を連れ去ってきたのは、他でもない私自身ではないか。
私達は個室に通された。少女は怯えきっていた。正直、私も緊張していた。ここでの話し合いの末、私の手から少女は連れ …
【百合小説】新宿少女観察日記48 「大丈夫だから座って。この人はゆきちゃんを守るために来た人だから」
「ゆきちゃん」 私は立ち上がった少女の手を右手で持ち、そっと左手を重ねた。 「今までゆきちゃんの周りの大人達は …
【百合小説】新宿少女観察日記47 「じゅうみんひょうってないの。ママ、ないの」
区役所に戻ると、子ども家庭課が少しざわついていた。そして最初についた役に立たない係員と、ショートボブで黒いスー …
【百合小説】新宿少女観察日記46 看板には「おさんぽ倶楽部」と書かれている。少女が見上げ、か細い声で言った。 「おみせ……かわってる……ママがいたおみせとちがう……」
新宿区役所は歌舞伎町一丁目にある。少女の母親が書いていたプロフィールに記載された住所と近い。 私達は区役所を出 …
【百合小説】新宿少女観察日記45 「つらかった……べつにつらくない……。ママはてんごくへいくんだっていってた。てんしになるんだよって……」
「更新は三ヶ月前に途絶えてますね。ほら、九月二日が最終です。この辺りにお母さんが亡くなったのかな?」 私はショ …
【百合小説】新宿少女観察日記44 画面を見ていた私と係員は言葉を失った。 少女と女性の裸の写真が何枚も何枚も映し出されたのだ。
「…………」 画面を見ていた私と係員は言葉を失った。 少女と女性の裸の写真が何枚も何枚も映し出されたのだ。写真 …
【百合小説】新宿少女観察日記43 「うんうん。そうだ。おじさんたちと写真は撮った?」 「とった。ママはしゃしんがだいすきで、せいかつひがかせげるっていってた」
私がどう言ったら良いのか分からず、黙っていると、係員が口を開いた。 「お母さんはもう亡くなったから、こんどは貴 …
【百合小説】新宿少女観察日記42 「ママのママはこどものとき、いなくなっちゃったっていってた。それからはまわりのおじさんやおにいさんたちが……ママをね……ママをね……」
係員はゴクンと唾を飲み込んだ。 「お母さんは携帯電話を持っていたかな」 「でんわ、もってた。おみせのおにいさん …