※ この作品は『色ざんげ』のパロディです。『百合ざんげ』は改行が元からありません。

 

yurizange

『百合ざんげ』(藤間紫苑)

 

夢なんですわ、きっとこれは夢……。
私は女の後ろ姿を汽車の中で見付けた時、そう思いながら何度も瞬きをした。女は平均的な日本人女性より、頭一つくらい背丈が高く、髪型をデートリッヒのような巻き毛にし、薔薇の造花を挿していた。きっと銀座を歩く時には洋装なのだろう。肌の色は浅黒かったが、白粉は塗らず、髪に挿した造花の薔薇と同色の紅い唇をしていた。その紅は私の見た事のない色で、輸入物だと思われた。女は手摺に寄り掛かりながら、流れる風景を親の敵のように見つめていた。特別車ではない普通車に何故乗っているのだろうか、そんな疑問を持つ前に、私は女に声を掛けていた。「ねぇ、ちょっと貴女。小牧高尾さんじゃありませんか。」私の声に女は振り返り、こう答えた。「貴女なんて知らないわ。」「私は貴女を知っているわ。私の名前は千代。私……」高尾は私の言葉を遮った。「千代。あの三流作家とおんなじ名前ね。改名すべきだわ。貴女、あのスキャンダラスな艶本を読んだというの。」高尾は唇に薄笑いを浮かべながら私を見た。ああ、この笑みよ、私が求めていたものは。私は体がきゅっと引き締まるような快感を覚えた。高尾本人だという確信を持った私は、女の右腕を掴み抱きしめた。「ええ、読んだわ。宇野千代さんが書かれた『色ざんげ』でしょう。私、何度も、何度も読んだわ。貴女が湯浅譲二に一目惚れして駅でずっと待っていた話、ホテルに行った話、家出した話から、家が没落した話、それから商才を発揮なさって成功された話、私、何度も、何度も貴女の章を読み返したのよ……でも『色ざんげ』には、貴女の素晴らしさが書き込まれていないわ。きっと、書けなかったのよ、貴女が素晴らしい女性だって。だって……だって……。」私は高尾の腕を握り締めながら、彼女の顔をじっと見詰めた。「だって……こんなに貴女の事が好きだなんて……言えなかったのよ……きっと……作者は。」私は高尾の瞳を覗き込んだ。高尾はその浅黒い顔に残酷な笑みを浮かべた。「貴女は私の事が好きなの?」高尾のはっきりした声は、車内に響き渡った。海兵服を着た女学生達が私達の方を見ながら、声を立てずに笑った。海水浴に来た学生達は、ちょっとの間、話を止め、聞き耳を立てた。私は恥ずかしさを感じ、さっと俯いた。こんな気の弱い私を高尾は責めるだろうか。嫌いにはならないだろうか。私は高尾の腕をさらに強く抱いた。私は自分の胸に高尾の腕をさらに強く押し付けた。暫くすると、車内は再び旅行者達の喧騒に包まれた。「わ、私……、高尾さんが好き……です。」私は俯きながら、そう言った。汽車の、痺れるような振動が高尾の体を伝わって、私の体内に流れ込んできた。

私は高尾の後を追って、汽車を降りた。高尾の足は早く、私は付いていくのがやっとだったので、私は今日訪問する筈だった宅へ連絡するのを止めにした。私達は海水浴客で混み合ったホームを通り抜け、タクシー乗り場へと向かった。海岸へと向かう観光客達を横目で見ながら、タクシーは細い道を走って行った。私達を乗せた車は途中で観光客達の行列とは違う道へと入って行った。きっとこの先に高尾さんと湯浅が向かったホテルがあるのだわ。私は潮の香りがする細い川を見ながらそう思った。タクシーはマリーナにあるホテルの玄関で止まった。私はタクシーを降りると高尾に向かって言った。「ここはあのホテルなのね。湯浅と入ったというあのホテル……。」高尾は私の言葉を無視し、玄関へと向かった。私は慌てて高尾を追いかけた。高尾は私に話し掛けず、帳簿に名前を書き、鍵を受け取り、部屋へと向かった。私は巾着を胸元で抱きしめ高尾の後を追って行った。「どうぞ。」高尾は扉を開き、私を部屋の中に招き入れた。部屋には大きなソファーベッドと美しい木彫りのテーブルが置いてあり、ラジオが机の上に置いてあった。高尾が窓を開くと、白いレースのカーテンがひらひらと風になびいた。「風が気持ちいいわ。貴女もこちらにいらっしゃい。」私は巾着をテーブルの上に置いて、高尾の側へと寄った。「まぁ、綺麗だわ。ヨットハーバーもあるのね。」私は高尾の腕に触れた。私は暫く高尾を見上げていた。高尾はよそよそしく、決して自分から私の方へ体を傾けたりしなかった。高尾は口も利かず、黙って海を見詰めていた。「高尾さんは湯浅の事、もうなんとも思ってらっしゃらないのでしょう? 私、高尾さんについてずっと考えていましたのよ。高尾さんが本当に求めているのは湯浅ではないと、私、知っていますわ。だって湯浅って、あの小説を読む限りではお飾り男で……、ちょっと危険な遊びをするには華もありますし、丁度良いけど、真剣に愛するには役不足なのですもの。あの方ってちっとも高尾さんの事を理解していませんわ。……でも、高尾さんもちっとも自分の事が解っていらっしゃらないわ。」高尾が急に口を開いた。「私、男になりたかったのよ。それで男を好きになるの。湯浅さんのような男と私なら耽美な世界が広がるんじゃないかって想像していたのよ。あの男は廃退的で、とても魅力的だったわ。凄く女性的で、それでいて男の人で、日本の多くの男性みたいに威張ったりしないわ。私、女子とじゃあ駄目なの……駄目だったの。女子は私と接吻はしても、体を開いてくれないの。女学校じゃあ、私はモテルの。幾人かの女子が私にラヴレターを寄越したわ。でも、駄目なのよ。誰も私の欲しい物をくれないわ。……何故かしら。」私は話し続ける高尾の手にそっと自分の手を乗せた。高尾はびっくりしたように私を見詰め、続けた。「私、女子と寝床を共にしたいのよ。貴女は私のこの欲望に答えてくれるというの。」私は高尾の興奮と悲しみで潤んだ瞳を覗いた。高尾の体は興奮して震えていた。高尾の瞳は私の瞳にとても接近して、私の唇と高尾の唇は重なった。「高尾さん……。」私は高尾の両手を手で包みながら答えた。「私は貴女を愛しているわ。別に男子になる必要なんてないじゃないの。凛々しい高尾さん。貴女はそのままで十分よ。貴女の欲望を私が受け止めてあげる。そして私の欲望は貴女が受け止めるのよ……、良い?」「ええ、良いわ。……私、とても興奮しているわ。不思議ね。」「だって女同士で寝るのは初めてでしょう? 緊張するものよ。私も……乱れてしまいそう。」私は高尾の手を私の腰に導いた。私の左手と腰で、高尾の右手をは挟んだ。腰の辺りで高尾の右手がもぞもぞと動いた。私は右手で高尾の着物をずらし、腿に触った。高尾は背丈があり、痩せていたが、餅肌で、しっとりと弾力があり、細い足の肉を指で掴むことが出来た。私は手を上下に動かして高尾の足の感触を楽しんだ。だが高尾は私の手を振り払った。「ねえ、千代さん。ここに横になんなさいよ。海が良く見えるわ。」高尾が指したのは、ベランダに置いてあった丸いテーブルの上だった。ベランダの手摺より少しだけ低くなっており、眺めが良さそうな場所だった。私は高尾に言われるまま、テーブルの上に横になった。手摺の冷たさが項から全身に伝わった。上を向くと日が眩しかったので、私は横を向いた。隣の部屋の窓は開け放ってあるので、だれか泊まり客が居るようだった。高尾は私の右足を持ち上げると、着物の下へと手を伸ばした。私が軽く腰を持ち上げると、高尾は素早くズロースを脱がせた。高尾は私の着物の裾を捲り上げ、私の腿と尻を潮風にあてた。私は海老のように体を曲げ、空高く足を掲げていた。白い足袋がホテルの白い壁に溶け込んでいった。高尾は私の足をVの字になるように開いた。「まあ、貴女のってこんな風になっているのね。私のより皮が厚いわ。」高尾は私の花弁を指で掴み、軽く引っ張った。そして両手で開き、じっと見詰めた。「薄い桃色をしているわ。いえ、桜貝のようだわ。」そして暫くの間、高尾は黙って見続けていた。「綺麗だわ。ねぇ、貴女、知っていて? 女子の体にはこんなに綺麗な場所が隠されているのよ。男子が女子を求めるのも当然だわ。女子のここはこんなに美しいんですもの。まぁ、白い蜜が溢れてきたわ。」高尾は私のマーガレットに接吻をして、丹念に舐めた。その一方、高尾は右手の小指で私のマーガレットの周辺を軽く押した。眼下にはヨットハーバーが見え、ヨットが出たり入ったりと人通りが激しかったが、高尾は気に留めていないようだった。高尾は私のマーガレットから内腿を舐め、踵へと向かい、体を引いて、親指を咥えた。足の指など舐められた事の無かった私は、新しい快感に身を捩っていた。私は足の指と二種類の花弁をぴくぴくと動かし、高尾の名前を呼んだ。「高尾さん、高尾さん。」私のカトレアの花弁は次第に中の方まで潮風を感じる様になっていった。朝露のようなものが、花弁からお尻の割れ目へと流れていった。高尾は朝露で指を湿らすと、また再びマーガレットへと指を伸ばした。私がマーガレットにどれだけ力を込めようとも、高尾の濡れた指を阻止することは出来なかった。高尾の指は私の体内へと侵入していった。高尾の指は芋虫のように動いた。高尾の指の先が私の体内の壁に触る度に、痒いような快感が、背筋から頭へと走っていった。「気持ちが良いでしょう、ほほほ、正直に言ってしまいなさい。貴女は可愛らしいわ。だからもっと気持ち良くしてあげる。」高尾は旅行鞄から何やら出しているようだった。私は肩を弾ませながら、隣のベランダを覗いた。恐らく客達はヨット遊びへと出掛けているのだろう。誰もベランダに出ている者は居なかった。崖の上に立っているホテルのベランダから海辺の観光客達はマッチ棒のように見えた。その時、お尻の辺りに冷たい物が当たった。「高尾さん、何ですの?」「私がいつも使っている少女コケシよ。」私は上半身を起こし、少女コケシを見ようと思ったが、高尾の手が私の体を止めた。「可愛い千代。貴女だったらきっと平気よ。」高尾は私の朝露で少女コケシの頭を濡らした。その少女コケシの頭は確かに小さく、私はある男性画家の股に生えていた土筆を思い出した。「さあ、お尻を上げて。」私は背中を曲げてお尻を高く上げ、高尾の顔面へと突き出した。青空に映える白い足袋は、何度見ても不思議な光景だった。高尾の左指が私のお尻を押さえ、指二本分程の棒のような物がマーガレットの中心部を押していた。腰を高く上げていたため、尻に力が入り、なかなか奥へとは入らなかった。高尾は無理に入れる事を諦めた。「降りてお尻を突き出しなさい。」私は高尾の言う通りにテーブルから降りて、着物を尻まで捲り上げ、テーブルに上半身を乗せ、爪先立った。高尾は私の腰に手を回した。私の目の前には明るい夏の空が広がっていた。私は風にあたりながら性交するのは初めてだったので、ひどく興奮していた。私の腿を朝露が濡らした。「はぁっ。……高尾さん、イタイ……。」少女コケシの一番広い所がマーガレットの中心部を広げた。尻が内側から押されるという感覚は、私に便通を錯覚させた。私の唇に真珠の首飾りの冷たい感触が伝わってきた。私がテーブルに肘を付き、下を向いて喘いでいると、高尾は少女コケシを一気に押し込んだ。細い木の枝のような物が私の背中を貫き、私は反り返った。高尾は私の腰を強く抱きしめた。「ああ、千代。私達は一体になったわ。」「いいえ、違うわ。それは少女コケシであって、貴女じゃない。……私が欲しいのは高尾さんだわ。」「何を生意気な事を言っているの?」「だってそれは……ああっ。」「そんな風に言えない体にしてやるわ。」高尾は男が腰を動かすかのように、少女コケシを押した。少女コケシは私の背と腹を刺激した。高尾の手が動く度に私の興奮は高まっていった。喉は渇き、乳首は張って布に擦れていた。私は着物の上から自分の胸を揉んだ。高尾は私の尻をぱんっと音が大きく鳴るように掌で叩いた。私は高尾がもっと興奮するように、さらに爪先立ちし、獣のように尻を左右に振った。私が尻を振ると、着物がずり落ち、少女コケシの上に乗った。その拍子に少女コケシは私の体内を掻き回した。「ひいっ。」「ほら、もっと良い声でお鳴きなさい。」高尾が用意した椅子に足を乗せた私は、さらに高く尻を持ち上げた。隣のベランダからは丸見えに違いない。高尾は満足そうに笑い、私の尻に噛み付いた。私の体は高尾が触れる度に緊張し、締まった。少女コケシは高尾の手によって、さらに奥へと挿し込まれた。私は振り返って、少女コケシを見ようとしたが、着物の陰に隠れ、姿は見えなかった。私はむず痒いカトレアの花弁に手を伸ばした。すると高尾は私の手をぴしゃっと叩いた。「駄目よ、まだ駄目。」そして高尾は私のカトレアの花弁を広げ、ふうっと息を吹きかけた。「まだよ。」高尾は少女コケシを右手でぐっと私の体内に押し込んだ。そして歯を立てて私の尻をかじった。私は白い手摺と明るい青空を見つめながら尻を上下左右に振った。高尾は私の尻に顔を押し付け、唇で尻の肉を咥え、ぶうっと音を立てた。その音は私達の肉欲をさらに暴走させた。興奮が頂点に達すると高尾は呼吸を止め、息をゆっくり吐き出しながら私の上へと乗った。暫くの間、高尾は私の上で呼吸を整えていた。しかしその間も、私の体内で少女コケシは揺れ、私の興奮は収まらなかった。気を落ち着かせた高尾は少女コケシを私の尻から抜き取ると、洗面所で洗って戻って来た。少女コケシをベランダの藤で出来た白い椅子の上へ置くと高尾は私にはっきりした声で言った。「ねぇ、貴女。ここで裸になって頂戴。さあ早く。」私は帯締めに手を掛け、ゆっくりと外していった。丸いテーブルの上に帯締めを置くと、テーブルの白に帯締めの薄い青紫色が映えた。次にやや薄い紺色の帯揚げをテーブルの上へ置いた。たった二本外しただけなのに、胴回りがやけに軽くなったような気がした。隣の部屋から私の上半身は丸見えだった。私はお気に入りのモダンな柄の帯を外した。帯枕が足元に落ちた。そこまで外すと、高尾は私の伊達締めと腰紐を解き、夏の海のような染めの着物を脱がした。この染色は、私が染めた着物の中でもお気に入りのものだった。高尾は私の着物や帯を部屋のテーブルの上に置き、ベランダへと戻って来た。そして私の頬に接吻をしながら、長襦袢に手を掛けた。私は高尾の手によって、ゆっくりと裸になっていった。高尾の唇が私から離れた時には、私の空を向いた乳房は、潮風に晒されていた。高尾は旅行鞄から新しい細い縄を出し、ベランダの手摺に括り付けた。私は再びテーブルの上に上向きに寝て、手摺の方へと手を出すと、高尾は私の腕をベランダに固定した。「ほほほ、綺麗よ、千代。ほら、もっと足を開きなさい。いつもはね、拾って来た少年にさせているのだけど、今日は千代の番よ。どう? 海の上に浮かんでいるようでしょう? 千代は綺麗だわ。特に皮が可愛いわ。この皮と皮の間に指を入れると、吸盤のように吸い付くのよ。誰だって溺れてしまうわ。今日は良い天気だわ、沢山の人がヨット遊びをしているわ。貴女は私に掴まったカモメなのよ。羽を毟られてここに縛られているの。まずは羽を毟らなくちゃね。」そういうと高尾はバスルームへと入って行った。私は高尾に拘束されてはいたが、不思議と不安は無かった。陽はまだまだ高く、風はとても心地よかった。私のカトレアの花弁ー高尾は皮と呼んでいたーは、爽やかな夏の風に当たり、乾き始めていた。高尾は手に剃刀を持って戻って来た。「あっ。」私は咄嗟に、私の会社の後援者でもあり、私の恋人である男性の事を思い出した。私はその時、高尾との関係を今日限りの遊びだと考えていた自分自身を知った。「さあ、股を開いて。」「こ、困ってしまいます。毛を剃られたら……知られてしまうわ。」「それがどうしたの? さあ、開きなさい、千代。」私は高尾の大きく見開いた瞳を見た。高尾の真剣な眼差しを見て、高尾の力強い声いて、私は高尾との関係は夢のような幻だろうと思っていた自分を恥じた。私は今の仕事に大切なパートナーを失う覚悟をした。私は高尾の言う通り、足を大きく開いた。私が足を開くと、高尾は石鹸水で私の陰毛を濡らし、剃刀の刃を当てた。ひやっとした刃の感触が、下へ伸びた時、私は高尾との関係が真実になったことを知った。私の精神的な不安を嘲笑うかのように、私の朝露はマーガレットの咲く谷間へと流れて行った。「すべすべしていて気持ちが良いわ。もう貴女の皮や種を隠す物は無いのよ。ほら、種がもうこんなに大きくなって、芽が出てしまいそうだわ。」高尾は朝露を舌で掬い取った。舌の感触は、私と同衾した誰よりも力強かった。高尾の舌は長く、カトレアの中心を奥深く抉った。「ああ……。」痒さを癒され、私は声を立てた。もっと、もっとと私は高尾の顔へと腰を突き出し、奥の方を癒して貰おうとした。魚が私の腰の辺りでぴちゃぴちゃと跳ねた。「ふふ、千代。遊戯をしましょう。」そういうと高尾は髪に挿していた薔薇の造花を私の口に咥えさせた。「私が種を舐める間、貴女がその薔薇を落とさなかったらここを私の手で弄ってあげる。でも落としたら道具で遊んであげるわ。」高尾はここ、と私のカトレアの中心部分を指差した。「ああ、高尾さんが欲しいんです。高尾さんじゃなきゃ絶対に厭よ。ねぇお願い、痒くて堪らないんです。私……。」「カモメは黙っていなさい。」そう言って高尾は私に薔薇の造花を咥えさせた。そして私の唇に接吻をした。「綺麗よ、千代。紅い薔薇と真珠の首飾りが貴女を最高の女にしているわ。」高尾は私の桜桃を、濡らした指で触れた。私は腰を振って、桜桃が一番感じる場所へと高尾の指を誘導した。高尾は人差し指と中指で桜桃の皮を剥き、舌に唾を乗せつるっと舐めた。私は薔薇の造花を咥えながら、体を震わせた。私の腹の上を暖かい風が通り過ぎて行った。明るい太陽が目の中に飛び込んできて、私は顔を横に背けた。瞼の裏に黄色い光が走り回った。高尾の舌は絹が肌を包み込むように滑らかで、私はこれが女の舌なのかと感動した。高尾の唇に私の桜桃は咥えられていた。高尾の湿った唇は、鼠が鳴くような音を立てて桜桃を吸った。私は造花を落とさないように、唇に力を込めた。唾液に溶けた造花の紙の下から糊の味がして、口一杯に広がっていった。高尾はとても念入りに私の桜桃を舐め続けた。私のカトレアからは尿と間違える程、朝露が流れ出ていた。私はその快楽から早く逃れたかった。私の体に触れる物は全て、私に快楽を与えていた。私の足を押さえる高尾の手、私の桜桃を食べている高尾の舌、体の上を滑らかに通っていく夏のそよ風、私の手を擦る縄、肌を冷やす真珠の首飾り、カタカタと揺れる白いテーブル、体を焼く太陽の熱い光、幾つも重なるうっとおしい虫の声、口の中に広がる紙の味、苦い糊の味、高尾の獲物を捕るような視線、それらが私を狂わせていった。私は大きな声で笑いたい、という衝動にかられた。大きく口を開けて、手が届きそうな光る空に向かって笑ったらどんなに気持ちが良いだろうか。高尾が私の尻を強く掴むと、屁が出てぷっと音をたてた。それがまた、私を笑わせた。私は心の中で笑った。笑いは私の体を弛緩させ、快感は電気のように体を痺れさせた。私はだんだんとテーブルや縄を感じなくなった。もう駄目だ、と思った瞬間、私は本当にカモメになったように、全ての感覚を捨て、空を飛んでいた。風は私の体を運んだ。もう駄目だ、もう駄目。私の体が腰の辺りから弛緩していき、喉の辺りまで力が抜け、薔薇の造花を咥える力が唇から失われそうになった時、高尾が私の桜桃から唇を離した。「舌が痺れてしまったわ。貴女って結構我慢強いのね。」私は高尾の言葉によって力を回復し、再び薔薇の造花を咥えた。高尾は私の口から薔薇の造花を外した。「口が赤くなってしまったわ。御免なさいね。」高尾はこの時初めて、恋人同士のように優しく、私の唇に接吻した。その唇には今までのような緊張も、荒々しさも無かった。高尾の紅い唇は雲のように柔らかかった。高尾は私の肩に手を置いて、私と唇を重ねていた。私の物とは比べ物にならない高尾のすべすべした骨の太い手は、私の体に円を描き、次第に乳房へと向かっていった。高尾の手の動きに私はうっとりとし、口を開いた。すると高尾は私の口の中に舌を入れ、多量の唾を流し込んできた。私は少し咽せながら、高尾の唾を飲み込んだ。高尾の指は演奏家の様で、私は楽器になった気分だった。「高尾さん、私、とても気持ちがいいわ。なんか、そう、楽器になったみたい。」「あら、でももし千代がピアノだったら、もっと強く弾かなきゃならないわ。だから千代は楽器じゃないわ。」「……確かにそうね。」高尾は私が幻想を持つのを許さなかった。私という同性と旅先のホテルのベランダでエス行為をしている今も、高尾にとってはとても現実なのだろう。私は弱い者で、高尾のような強さはなかった。だからこそ高尾に私は惹かれたのかもしれない。強くなくては同性を愛し続けていられないだろう。私は強くなれるのだろうか。「高尾さん、好き、好きよ。ずっと好き。大好き。ねぇ、私のを触って。もう、痒くて、私、泣いてしまうわ。」高尾は私の胸に優しく接吻した。「何処かしら、千代を苦しめているのは。」「意地悪しちゃ厭です。高尾さん、早く、早く……。」私は大きく足を開き、腰を上げた。「早く、早く。」「もっと大きな声で頼みなさい。ほら、隣の部屋の人が帰って来たわ。」高尾がそういうので、私はびっくりして隣の部屋の方を見た。すると確かに人影があった。私は恥ずかしさから腰を引き、足を閉じた。「駄目よ、閉じちゃ。大丈夫、私の体が陰になっているわ。」高尾はそういうと、私の腿に歯を立てた。「気持ちがいいわ……こんな状況で気持ちが良いなんて、私、狂ってしまったのかしら。」「別に狂ってなんかいないわ。外でするのって気持ちが良いものよ。千代は外でした事がないの?」「ありませんわ。」「そう、私は幾度もあるわ。このホテルでね。」「……学生さん達と?」「ええ、そう。」「だ、男子をこんな風に縛っているの?」「そうよ、お尻の穴に入れてあげるとオンナみたいに喜ぶのよ。私が誘う子は綺麗なのばかりだから、まるで女子みたいなの。たまにだけど、小学生くらいの子も誘うわ。少女みたいよ、そういう子って。まだ声も綺麗だしね。」「ああ、高尾さん。そんな男子を相手にするのはよして下さい。私、私、高尾さんの為ならなんだってしますわ。私、高尾さんが男子を抱くなんて想像したくありません。……あっ。」私がそう言うと、高尾は強く私の腿を噛んだ。私は痛くて声を上げた。高尾は私の願いを聞き入れず、さらに激しく噛みながら、私の体内に指を挿し込んだ。「ああっ、」「千代、貴女は可愛いわ。食べてしまいたいくらいよ。もっと欲しい?」私は高尾の指をもっと感じようと思い、腰に力を入れた。高尾の指は入ったり出たり繰り返しているようだった。「もっと、欲しいわ……高尾さん。」「じゃあもっとあげる。」高尾は指を一気に増やしたようで、私はとてもきつく感じた。高尾は腿に歯を立てたまま、右手の指を挿入し、左手で私の桜桃を弄っていた。水面を魚が跳ねるような音がベランダに響いた。私は高尾の指の動きと、歯を立てられている快感とで、狂ったように声を上げた。私の声を聞いて、隣の部屋の婦人がベランダに出て来たが、私達を見るとまた部屋へと戻っていき、窓を閉めた。私はこんなに声を上げてしたのは初めてだった。大きな声も自分の淫らな姿も消してしまいそうな、夏の空を見上げながらしているからかもしれない。ずっと気にしていた高尾と結ばれた興奮からかもしれない。高尾がとても上手だからかもしれない。私は夫も子供も捨て、やっと軌道に乗ってきたお針子の会社も捨て、ずっとこのまま高尾と触れ合っていたいという空想に囚われた。「ああ、可愛いわ、千代。貴女が私の指を締め付けるととてもいいわ。もっともっと締めなさい。そして腰を動かしなさい。私の指が千代に、千代に!」私は高尾の言う通り、腰を動かした。快感はさらに高まり、私は声を立てて泣いた。高尾は興奮して頭を振っていた。高尾の髪が乱れ、髪飾りが床に落ちた。暫くすると高尾はぐったりとして体を私の上へ倒した。私は高尾が倒れた後も腰を動かし、高尾との繋がりを楽しんだ。高尾は瞳を輝かせながら私の方を見た。「千代、とても良かったわ。とても興奮してしまったわ、私。」高尾は私の濡れた頬を舐めた。私は足を開き、高尾の体を挟んだ。高尾のモダンな柄の着物に私の朝露が輝いた。

 

 

 

tiyototakao

『千代と高尾』(藤間紫苑)

 

「さあ千代、あたしを縛るといいわ。」
私が小便を済まし寝室に戻って来ると、小牧高尾はベッドの上で裸になり大の字に寝そべっていた。高尾の横には細い組紐が四本、無造作に置かれていた。
逗子にあるホテルの広い窓からは明るい陽射しが部屋の中に差し込んでいた。高尾が横たわるベッドに陽は当たっていなかったが部屋の中は十分明るく、高尾の体は影を落としながらもなめまかしく映えていた。明るい部屋の中で女性が陰部を隠すこともなく横たわる姿を、初めて見た私は少女のように赤くなって俯いてしまった。
「ふふ、なに赤くなっているのよ千代。貴女も早く生まれたままの姿におなりなさい。最初は恥ずかしいかもしれないけど、慣れればなんてことないわよ。」
そう言われても私はなかなか帯に手を掛けることが出来なかった。窓の外には洋式の白いベランダと、夏の明るい青に彩られた空が輝いていた。
「早くしなさい。そうしないとお仕置しちゃうわよ。それとも千代はお仕置の方が良いかしら。」
高尾は横向きになって、左手で組紐をひらひらと振り回した。
「そんな意地悪を言っては嫌です。」
私は窓の外を見た。窓の外には空が広がるばかりで、空軍の飛行機の姿も見えなかった。
私は意を決して着物を素早く脱ぎ捨て、首に真珠の首飾りを着けたまま、高尾と同じく裸になった。私の体にはくっきりと子を産んだ跡が残されていて、腹の皮が少しばかり緩くなっていた。三十路を過ぎていると思われるのに高尾の肌は瑞々しく、興奮でほんのり桃色に染まっていた。私はその時、高尾に子供がいない事を知った。子供を産んだ自分の体に私は誇を持っていたが、高尾の若々しい体への嫉妬心は拭えるものではなかった。
「ホテルの寝室に二人の女が裸になっているなんて、面白い事ですわ、高尾さん。」
それどころか私はマリーナのホテルに来たのも、明るい陽射しの下で裸になるのも初めてだった。私は高尾の手を組紐でベッドボードの飾り部分に括り付けた。高尾はベッドの上でY字に束縛され、その姿は私を興奮させた。私は幾人かの男達と関係を結んだが、緊縛をしあった事は無かった。高尾との行為はエスの関係だけではなく、目新しいものばかりだった。
「あたしは女子とこうなる場面を何度も想像したわ。千代は想像した?」
「いえ …… あの、私 …… 高尾さんと横になる夢はよく見ましたわ。でも女子となんて。」
「お馬鹿さんね、可愛い千代。あたしと寝たいって考える位ですもの。あなたにはエスっ気があるのよ。もっと自分をちゃんと見つめなさい。あたしに遠慮する必要なんてないのよ。あたしは自由奔放に寝る女が好きなの。」
「でも、ほんとに。」
「千代、私に接吻しなさい。」
私は高尾に言われるままに唇を重ねた。高尾は両手を縛られたまま、私の唇を吸った。高尾の唇からは外国製の香料が仄かに匂った。高尾の付けている口紅の匂いは、この間渡航した友人の持っていた化粧品の香料とも違う、不思議な香りがした。私の白粉の匂いと高尾の口紅の匂いが混ざり合って、私は痺れるような感覚を覚えた。
女の匂い。ああ、私はこんなにも女の匂いで興奮するのだ。祖父は私の白粉の匂いを娼婦のようだと嫌っていた。あの新鋭画家は、白粉を付けていない素顔のままの私が好きだといった。だが私は白粉を付け続けた。この女の匂いがとても好きだったのだ。
高尾は私の口に舌を挿し込んで、くるり、くるりと動かした。口の中で高尾の舌がぬるぬると動き回るのを私はとても気持ち良く感じた。奥歯の近くまで舌を差し込まれて、私はあぁ …… と息を漏らした。高尾の喉がこくりと動いた。私達は互いの唾を呑みあった。
私は高尾の上に体を重ねた。私は乳房をゆっくり高尾の乳房と重ねていった。高尾の乳房の膨らみは私に、肌と肌を触れ合わせているのが女体なのだとはっきり分からせるのだった。高尾の勃起した乳首が私の肌に触れ、私の乳首が高尾の肌に触れ、それらが互いの乳肉の中に埋まっていく感覚はなんとも言いがたい気持ち良さだった。私の体は高尾の肉の中へと沈んでいった。
高尾の肌の感触はあの画家が言っていた通り、人を惑わすような魅力があった。高尾の体は興奮でやや温かくなっていた。
「ああ …… 高尾さんの体ってとても気持ちが良いわ。」
「さぁ千代、私の乳房をゆっくり揉んでごらんなさい。」
私は高尾の胸を下から持ち上げた。高尾の胸はやや小さめだったが、形が良く、白いのに染み一つついていなかった。私は高尾の胸を包み込むように揉んだ。
「はぁ …… ああ、あぁ ……」
高尾は体を揺らし、声を上げた。私はさらに高尾の胸を揉み、乳首を吸った。
「ああ千代、とても気持ち …… いい、いいわ。もっと、もっと吸って。」
私は高尾の乳首を嘗めた。たまに歯で軽く噛んだ。手の中で高尾の乳房はふるふると揺れ、乳首はさらに堅さを帯びていった。私は大きく口を開け、高尾の乳房をくわえた。口一杯に広がる高尾の乳の感触、唇が感じる高尾のしっとりとした肌、私はふと幼いころ母の胸に抱かれていた事を思い返した。
高尾は両手を縛られたまま、いいわ、もっとよ、と声を上げた。
私は高尾の乳首を吸いながら、下半身へと右手を伸ばした。高尾の股は熱く、腿にまで朝露が広がっていた。私は高尾の足の間に自分の足を入れ、股に触りやすくした。私は高尾の乳首を吸いながらカトレアの花弁をなぞった。高尾の花弁は朝露で溢れていた。私は高尾の固くなった桜桃を右手の人差し指と中指で挟み、朝露を付けながら滑らせた。
「千代 …… ああん。」
私はさらに指を素早く滑らせた。高尾は肩で息をし、上を向いた。高尾の花弁は私の指に吸い付いてきて、朝露はさらに溢れ出てきた。
「駄目よ、もう駄目。」
高尾は首を振り、体をよじって私の指から逃げようとした。高尾が駄目と言うので、私は指を花弁からゆっくりと離した。
「もう、何をやっているのよ千代。続けなさい。」
「え …… だって高尾さん、駄目だって言ったじゃありませんか。」
「千代はなんにも分かっちゃあいないんだから。早くしなさい。」
私は指でさらに高尾を感じさせた。そして高尾の乳を左手でしっかり掴み、高尾の体を肘で押さえ付けた。
「良いわ、良いわ千代、ああっ」
高尾が体を反らしたので、私の体は少しばかり持ち上がった。私が乳首を軽く噛むと、高尾はひぃっと悲鳴を上げた。高尾の体が痙攣し始めたので、私は高尾の桜桃を擦り続けた。
高尾は長いあいだ気をやっていた。私が桜桃の皮を剥き直接指を滑らせると、高尾はさらに悲鳴を上げ体を強張らせるのだった。
「ねぇ千代、お願いよ、あたし痒くて、中が痒くて仕方がないのよ。お願いだから少女こけしで中をひっかきまわして頂戴。ね、後生だから。」
私に懇願する高尾の声は、私の中の攻撃性を燃え上がらせた。
「そうねぇ、どうしようかしら。高尾さんがもっとお願いしなくちゃぁ駄目よ。ふふ、痒いでしょう、痒くて仕方がないでしょう。私だって同じ女ですもの、その辛さはよぉく知っているわ。さぁ高尾さん、私にお願いしてごらんなさいな。」
そう言いながら私は今までに無いほどの興奮を覚えた。気位のたかい高尾を服従させるという行為に、これ程まで自分が興奮すると思っていなかった。私は心臓をどきどきさせ、唾をごくんと飲み込んだ。
「何を言っているのよ、千代。早く入れて頂戴。」
「そんな風に言える立場じゃないでしょ、高尾さん。ほぅら、ほら。」
私は膝で高尾の股をぐりぐりと圧した。高尾のカトレアの花弁は私の膝にしっとりと吸い付いた。
「やん …… いや、もっと。」
高尾は私に懇願した。私はその時、緊縛遊戯の快楽を知った。
「高尾さん、なんて可愛らしいのかしら、ねぇもっとお願いして頂戴な。」
私がそう言うと、高尾は恥ずかしがり、両手をベッドに縛られたまま横を向いた。
「ほら、ほら、どうしたの。」
「ああ、千代、お願いします。少女コケシを私のなかに入れて下さい。」
「ふふ、良く出来たわね。じゃあご褒美をあげるわ。」
私は立上がり、机に上に置いてあった少女コケシを取り、ベッドに戻った。そして高尾の足の間に座った。
「高尾さんったらもうこんなになってしまって。」
私は少女コケシに高尾の朝露を付けた。そしてコケシの頭を高尾のマーガレットへと押し付けた。
「千代、何をするの。」
「ねぇ、高尾さん。このホテルに何人の青年を連れ込んだの。」
「あまり覚えていないわ。」
「ここは使った事があって?」
「そりゃあ何度かは …… 千代、まさか。」
「青年達にも、この太い少女コケシを入れられたのかしらね。」
私は高尾の腿を左手で押し上げ、マーガレットを見やすくした。私はコケシの頭をぬるぬると高尾のマーガレットに押し付けた。
「千代、もっと細いコケシもあるから、後ろはそっちのやつにして。」
「高尾さん、まだ自分の立場を理解していないようね。決定するのは私よ。貴女は自分から縛られる事を望んだのだから観念しなさい。大丈夫、優しく入れるわ。」
私は高尾の桜桃を舌で嘗めた。ぺろりぺろりとしながら、少女コケシを高尾のマーガレットに強く押し付けた。
高尾は後ろのほうも遊んでいたらしく、少女コケシは思ったよりもすんなり高尾の体内へと埋もれていった。高尾はふぅんと呻いた。
「あらあらもう入ってしまったわ。少女コケシがこんなにすんなり入るなんて、わるいこね。」
「千代 ……」
高尾はまだ半分程の少女コケシをマーガレットの中心からはみ出させながら、体をくの字に曲げ尻を浮かせ、足を広げて私の方を見た。手を縛られている高尾は自分で少女コケシを出す事も入れる事も出来なかった。
高尾の赤い花弁は私の目の前で開かれ、つーっと朝露が流れ出ていた。私はマーガレット周辺の皮膚を指で押さえ、中に引き込まれないように注意した。私はコケシが飛び出ないようにしながら、舌で朝露を嘗めた。ぱっくりと開いた高尾の花弁の奥まで私は舌を差し込み、奥から外へ下から上へと動かした。高尾のカトレアを舌で嘗めながら私は少女コケシの中心をくるりと円を書くように動かした。
「ひぃー」
私がコケシを一層動かすと、高尾は再び声を上げ、花弁をきゅっと締めた。高尾のカトレアの花弁から朝露が溢れ出てきた。
「あぁー、千代、もっともっとして。あたしを刺して頂戴。」
「どうしようかしら。」
私は左手でコケシを軽く押した。コケシは私が押すと中に入り、暫くすると高尾自身の力で押し出された。私はもう少し力を込め、コケシを高尾の体内へと押し込んだ。高尾は少女コケシの殆どを体内に収め、コケシの足の部分を少々残すのみとなった。高尾ははぁ、と息を吐きながら腰を落とした。私はコケシが飛び出ないよう、高尾の尻の下に枕を置いた。
高尾は裸のまま両手をベッドに固定され、上向きになり、腰を枕によって浮かせる態勢となった。上から見ると隠れてしまうが、その排便に必要なマーガレットの中心には少女コケシが深々と埋められているのだった。高尾は少しでも体を動かすとマーガレットを貫いている太く長く堅い少女コケシが体内で動くとみえ、ううん、と声を漏らすのだった。
私は高尾のカトレアの花弁を開き、その中心部分に右手の中指を挿入した。高尾の体内は朝露に溢れ、熱を帯びていた。高尾の花弁は緩みきっていたので、私はさらに人差し指と薬指を高尾の体内に挿入した。私は高尾の体内で壁の向うにあるコケシの堅さを感じた。
「ああ、千代、いい、いいわ、もっと、あうっ、も、もっと掻き回して!」
私は高尾の左乳を左手で揉み、左指で高尾の乳首をいじり、右手を高尾の体内から出したり入れたり回したりした。そして舌で高尾の桜桃を嘗めた。
「ああ嬉しいわ、女子に、女子に縛られながら気をやることを何度夢見た事か …… ああ、千代、素敵、素敵だわ …… ひぃー、ひぃ、…… ひぃー」
高尾は上半身を捩りながらあえぎ声を上げた。下半身を動かすと体内を少女コケシが動き回るらしく、高尾は尻を動かす度にびくっと体を震わせた。少女コケシの大きさは、高尾の体内の壁を隔てて私も感じる事が出来た。
私は高尾の桜桃を、ちゅうーっと吸った。私は唇を窄ませ高尾の桜桃を吸い続け、たまに舌で嘗めた。
「千代、いいわ、ああ、好き、大好き、誰よりもいいわ、貴女が一番よ千代。もっと、もっと私を感じさせて頂戴。コケシが、少女があたしの体の中で暴れ回るのよ。ああ、千代、貴女ってなんて良い女なのかしら。いいえ、悪い女かもしれないわ。少女コケシと千代が、千代が私の体の痒みを止めてくれるのよ。ち、千代があたしの体をあたしの …… ああ、そんなに穴を広げないで、ああ、いいわ、穴が広がっていくわ …… あたしの体の中が掻き回されるわ。千代、千代、あたしの千代、もう離したくないわ。」
「高尾さん私もよ。もう離れたくない、ずっと一緒にいたいわ高尾さん。もっと …… もっと声を上げて私を感じさせて下さいな。ほら、ほらもっと奥まで入っていくわ。高尾さんの体の中はとっても熱くて、燃えている、感じているのね高尾さん。」
私は左手の指を嘗め、濡れたまま高尾のつんと固くなった乳首をいじった。ぬるぬるとした指が高尾の乳首に触れると、高尾はああん、と声を上げた。私は人差し指で高尾の乳首を押した。指はずぶずぶと高尾の胸の肉の中へと埋まっていった。一番下まで押すと、私は指をくりくりっと回した。高尾の乳首を胸の肉の中でいじると、高尾のカトレアに朝露が溢れ出た。
私は体を起こし、ベッドから降りると伊達締めを手に取り、高尾を目隠しした。
「ふふ、どうかしら高尾さん。人間は不思議と目隠しをすると感覚が凄く鋭くなるのよね。少女コケシの具合はどう?」
「良い、良いわ、千代 …… あっ」
私は高尾のカトレアの中心へと細長いコケシを挿入し、さらに自分の右手の指を二本挿入した。高尾の体にはまだ余裕があったので、さらに指を二本入れた。その隙間からさらに親指を挿入した。高尾のカトレアはグロテスクな程広がった。
「うひぃー、あ、あ、ひぃー」
高尾は動物のように声を上げた。私は親指の付根まで高尾の体内に指を挿入したり、引いたりした。そして私は左手を嘗め、高尾の桜桃を摘んだり、親指で押したりした。桜桃の種は皮を剥いて大きく膨らんでいた。それから左手で高尾の腰を下に押し付け、高尾のマーガレットに挿入された少女コケシが動くように揺らしたりした。
高尾は体を緊張させ、背中を弓反りした。そうすると一層少女コケシは高尾の体内に入っていった。高尾は腰を軽く動かし、少女コケシを自分で出し入れしているようだったので、私はカトレアの奥深くに挿入した右手の指と細いコケシを動かすリズムをその動きに合わせ、それよりも早いテンポで高尾の桜桃を左手の指でこすったのだった。
「ひぃー、千代、好きよ、あたし貴女が好きなのよ。ああ、もっとあた、あたしを狂わせて頂戴。もう何もかも忘れさせて …… ひぃぃー」
高尾は声を上げ、体をびくんびくんと大きく震えさせると、はぁーと長い息を吐いて体をベッドに沈めた。しかし腰を落とすとマーガレットに刺さった少女コケシが体を貫くので、高尾は大きく体を震わせ、少しだけ腰を持ち上げた。
「千代、お願いよ。もう、お尻に挿してある少女コケシを抜いて頂戴。あたし気のやり過ぎで疲れてしまったわ。」
「ほほ、何をおっしゃっているのかしら高尾さん。決定するのは私だって言ったでしょう。縛ってと言ったのは貴女なんですからね。これからが本当よ。」
そう言うと私は高尾のカトレアから手と細いコケシを引き出した。そして高尾の両足を余裕をもってベッドの飾り部分に括り付けた。高尾は尻の下に枕を入れた状態で、私によって目隠しをされたままX字に縛られた。
「高尾さんったらなんて恥ずかしい格好なのかしら。」
私は机の上からもう数本ある少女コケシを持ってきた。高尾はこれでマリーナに来ている裕福な男子学生達を串刺しにしているに違いない。そう想像するだけで私の中に男達への嫉妬が芽生えた。私は中でも一番大きな少女コケシを手に取った。
私は太い、その少女コケシを高尾のカトレアの中心へと押し付けた。先程までの行為でだらしなく緩んでいた高尾の花芯は少女コケシを軽々と飲み込んでいった。
「う …… んむ」
私は高尾のカトレアの花弁が中に引き込まれないように指で引っ張りながら、少女コケシを奥まで押し込んだ。そして次に大きな少女コケシを自分の朝露で濡らし、自分のカトレアの花芯へと挿入した。私のカトレアは高尾の手によって剃毛されていたので、コケシが毛に引っかかる心配はなかった。
私の体内に入った少女コケシは思ったよりも太く長かった。入れるのに一苦労で大部分を体中に収めた時には、ふうっと大きく息を吐くほどだった。私は高尾の尻の下の枕を大きめのタオルと換え、高尾の体の下に自分の右足を入れ、高尾の腹の上に左足を乗せた。こうする事で私達は体を交わらせ、互いの花弁を重ねようとすれば互いの体内に少女コケシが深く刺さる態勢となった。私の右足の付根にはタオルが置かれ、高尾のマーガレットに刺さる少女コケシを支えていた。
「貝合せみたく出来るかしら。」
「でも千代。この体勢って貝合わせとちょっと違うと思うわ。」
「私もそう思うの …… 痛かったらすぐにおっしゃってね、高尾さん。」
私はゆっくりと腰を動かした。高尾は手足を縛られながら、私の少女コケシを動かしている。これは思ったよりも私を気持ち良くした。高尾の体が傷付かないように、私は慎重に腰を動かした。
私は少し腰を曲げ、自分の桜桃をいじった。私のカトレアは自分が想像しているよりも濡れていた。そしてゆっくりと高尾と体を密着していった。
「うう ……」
高尾は呻いた。背の高い少女コケシが奥の方まで貫いたようだった。私の体内にあるコケシも一番奥の方まで進んだようだった。私は自分の桜桃を右手で触った。私はそのまま腰を動かし、高尾とくっついたり離れたり、腰を回したりした。
「うう …… ひっひっ」
高尾の体は再び緊張を帯びてきた。私は自分の桜桃に触れる指を更に早く動かし、腰を振った。もうすでに出来上がっていた私の体はさらに燃え上がり、私達のカトレアはぴちゃぴちゃくちゅっと朝露が滴る音がして、部屋に響き渡った。
「千代 …… 千代 …… 千代!」
高尾は腰をふって、私と密着しようとした。高尾が下の方に体をずらすと、少女コケシが私の体内に更にく深く刺さっていった。
「高尾さん、そんなに腰を下ろしてきちゃあ …… 嫌です」
そう言いながら私の体は高尾を求めて上へ上へとずれていった。私達は愛し合い、また自分達を喜ばさせた。
私達は腰を押しては引き、引いては押す、それを繰り返した。そしてある瞬間、互いに互いの腰を一際強く押し付け合った。
「はぁああん、千代!」
「高尾さん、愛しているわ。」
私は体を大きく震わせた。そうすると高尾にも振動が伝わった様だった。
「ああ! あ!」
高尾は声を上げ、のけ反りながら体を震わせた。私はひぃーっと悲鳴を上げながら、自分の桜桃をさらにこすった。私は高尾の少女コケシを誰も入った事のない程深く挿入しながら、体をくんっ、くんっと強く震わせた。
私は暫く体をぶるぶると震わせていた。それが落ち着いてくると高尾のマーガレットから少女コケシをそっと抜いた。糞がこびりついた少女コケシをタオルにくるむと、私はそれをベッドの足元に転がし、高尾の束縛を外した。
互いのカトレアには少女コケシを挿入したまま、私は高尾の横に並んで目を閉じた。

私は高尾の寝顔を覗き込んだ。高尾の少しだけ開いた口元から安らかな寝息がもれていた。私は今日あった出来事を思い返した。憧れの女性であった高尾との突然の出会い。私達は逗子に来てそして互いに愛し合い、求め合った。
私は高尾に毛を剃られた性器の上を指でなぞった。つるつるになってしまったここを見て、私の会社の後援者であり恋人でもある男は何と言うだろうか。私は驚いた男の顔を想像して一人笑みを浮かべた。私の気持ちは今やすっかり高尾に傾いていて、男の事などどうでもよくなっていた。現実には明日からの資金繰りをどうしたらよいのか考えなければならなかったが、今はその事よりも隣に寝ている愛らしい恋人の事で頭が一杯だった。
これから私と高尾はどの様に暮らしていくのだろうか。そういえば私は高尾がどこに住んでいるのか知らなかった。これから二人でゆっくり話し合っていけばいい、そんな事を私は一人考え幸せな将来を予見していた。
「あら、先に起きていたのね。…… まぁ、もう真っ暗じゃないの。」
ホテルのベランダの下に広がる逗子の海辺は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。ホテルの窓の向こうには夜を知らせる無数の星が輝いていた。
高尾は体を急に起こしベッドを降りると、着物を羽織り始めた。私は高尾の体が着物の下に隠れていく様をじっと見つめていた。高尾が裸になってベッドに横になっていた姿を見た時はどうしたらよいのやらと動揺した私だったが、高尾の肩が、胸が、柔らかい腰周りが、白い腿が長襦袢の下に消えていくのを見ると、なんとも寂しく感じた。
私は裸のまま起き上がり、ベッドの縁に座った。高尾はあっという間に帯を締めて、組紐やら少女こけしやらを巾着の中にしまっていた。部屋の中にはきちんと着物を着た高尾と真っ裸の私がいて、なんともへんてこな雰囲気であった。
高尾の急いだ様子に私は少々不安になってきた。
「ねぇ、高尾さん。私考えたのよ。これから二人で暮らして行きましょうよ。女二人の生活は大変かもしれないけれどきっと大丈夫。私も仕事をしているし、高尾さんもお仕事をなさっているのでしょう? ううん、暮らしの事は心配しなくてもいいわ。私が高尾さん一人くらい養ってさしあげますわ。」
高尾は動作をぴたりと止めて、後ろを振り返った。そして私の顔をまじまじと見つめ、ほほほ、と笑った。
「何を言っているのやら。千代、考えてご覧なさい。今みたいに富国だなんだと言っている御時世に女二人で生きていけるわけがないじゃないの。」
この言葉は私に大きな衝撃を与えた。
「そんな、高尾さん。私、貴女とこのまま別れるなんて考えたくありません。私達の愛は、結び付きは何処へ行ってしまうというの? 私 ……」
私は感情が高ぶり、ベッドから降りて立上がった。怒りでと悲しみで肩を震わせている私の体を、高尾は力強く抱き締めた。
「馬鹿ね。このままお別れなんて悲しい事を言わないで頂戴、可愛い私の千代。同じ国に産まれて来たんですもの、いつでも会えるでしょう? そうじゃなくて?」
私は高尾の言葉を聞いて少しずつ落ち着きを取り戻していった。高尾は涙で濡れた私の瞳を覗き込んだ。
「いつか …… いつかきっと私達のような間柄が夫婦になれる時代が来る ……。私はそう信じて生きていくわ。貴女もそう思わない? 千代。」
私は涙を溢れさせながら頷いた。高尾の表情は、気丈な女性とは思えない程の寂しさを漂わせていた。私は何度も何度も頷いた。
高尾は自分の連絡先を書いた紙と、ホテル代にしては十分すぎるお金を置いて部屋を出て行った。私は我が家の住所を高尾に渡し、また必ず会いましょうと言って高尾を見送った。

私が高尾に出した手紙は住所不明で返送され、高尾から連絡が来る事は一度も無かった。私は一年近く高尾の手紙を待ち続け、その後、高尾に騙された事実にひどく落ち込み、涙を流す日々を送った。あまりにも辛いために、高尾との出会いは夢だったのかもしれないと思う事もあったが、その度に空想の高尾が現れ、あたしたちの関係は夢なんかじゃない、と私を叱咤するのだった。
戦争も終り、事業はさらに忙しくなった。私の中で高尾との関係は次第に思い出に変わっていった。だが高尾の存在は私の中のエスを確実に目覚めさせた。
ある日、海辺のホテルのベッドでいつものように私はナンパした少女と一夜限りの関係を結んでいた。その時、私の脳裏にふと高尾の言った台詞が思い返された。
― いつか私達のような間柄が夫婦になれる日が来る ……。
夢物語のような話だと私は思った。
その時、いつも現実的な考えを巡らせている高尾が、本当はとても夢想家なのだという事に気付いた。そして私はせめて夢だけでも高尾と同じものを見ながら生きていこうと、決心するのだった。
< 終 >

 

初出『少女帝国別冊 百合ざんげ』